デラウェア

Brand-Boys2007-07-14


先日、アメリカのデラウェア州に行く機会があった。デラウェア州は、東海岸のニューヨークとワシントンDCのほぼ中間に位置するアメリカで2番目に小さい州で、人口は80万人程度である。日本人の発想で言えば、ぶどう(デラウェア種)が豊富に取れそうなのだが、おそらくぶどう畑はない。

東海岸の主要都市を結ぶ回廊上にある割には、一見、目立たない州である。主要幹線道路I-95は、デラウェア州の北端をかすめるだけなので、油断をするとすぐにペンシルバニア州メリーランド州になってしまう(ニュージャージー州にも抜けられる)。

しかし、米国の企業経営者にとって、デラウェア州は登記上の本社を置くべき場所として、有名である。これはデラウェア州会社法が企業に有利である(会社の設立解散が容易、判例が充実していて裁判が行いやすい)ためらしい。確かに、州で一番の大都市ウィルミントン(といっても人口7万人)の駅前には、最近移転してきたという立派なAIGのビルが建っていた。

暮らし面で特筆すべきは、デラウェア州の消費税がゼロということである。アメリカに行くと州ごとに消費税が違っていて、しかも外税なので、レジで値段を見るまでいくらかかるか分からないという経験をするが、ここではその心配はない。値札どおりに支払えばよいのだ。週末のショッピングモールは、近隣州のナンバープレートをつけた車でいっぱいである。

このように人や企業をひきつける要素を持っていて小さいながらも豊かな州である。さらに言えば、デラウェア州は、アメリカで最初に合衆国憲法を批准した州 the First State で、州に住んでいる人は誇りに思っているふうである。ちなみに、デラウェア州の観光局のキャッチフレーズは「It's good for being first(一番は良いことだ)」である。

以上、現地で聞いた「お国自慢」を基に書いてみた。アメリカの場合、州政府の裁量の自由度が高いことが、「お国自慢」をサポートすることにつながる部分が大きいと思う。日本でも、もっと地方に(財源とともに)裁量を任せた方が、長い目で見れば良くなるような気がするのだが・・・。