地域団体商標
地域団体商標(=地域名+商品名(あるいはサービス名)による「団体商標」≒地域ブランド品/サービス)の登録が100件に達したらしい。
ブランドのインフレ化:http://myhome.cururu.jp/freedom_and_justice/blog/article/31000713827
これを多いのか少ないのかは、見方によるが、個人的にはまだまだ少ないのかなぁと思う。商標という形で守る必要があるかどうかはともかく、地域独自の産品やサービスの数はこんなモノではないと思うからだ。
ただ、これらの地域ブランドが本当の意味で差別化できているのかは確かに疑問だと思う。差別化できない資源がどんどん登録されているとしたら、日本中の「地域ブランド」全体の意味が薄れてしまう懸念もある。
地域団体商標が、こうした点をきちんと審査した上で登録されていることを願いたい。
ふるさとからのメッセージ
元旦に放送された「NHKスペシャル」の再放送をみた。NHKスペシャルは好きな番組なのだけれど、今回は特に面白かった。いわゆる地域(イナカと言い換えても良い)が直面する、高齢化、過疎化、財政難、国際競争力を確保するための農業の問題などに関する、独自の取組に関して伝えようとしている。
僕たちの問題意識からみて、特に参考になったのは島根県隠岐の島の特産品開発の事例。Iターンの若者が特産品開発に重要な役割を果たしていて、開発された商品は基本的に地産地消を目指しているらしい(番組では、さざえカレーなどが取り上げられていた。)。今のところ成功しているようだ。調べてみたところ、隠岐の島のなかでもこうした活動の中心になっているのは海士町という町のようだ。ここでは、「商品開発研修生」というような名目でIターンの人を募っている様子。確かにコレまで地域ブランドのことを調べる課程で、地元の人の気づかない地域資源はたくさんあることは僕たちも何度か実感してきた。こういう資源は、特産品に限らず観光や、住みやすさ、産業振興など様々な観点からみても各地にたくさんあると思う。Iターンの、特に若者を活用してこういう資源を発掘し発展させようというのは、地域にとって一石二鳥のアイディアだ。
隠岐の話を伝える中、画面に「地域は宝のやま」というテロップがでていた。こういう視点は、外からみた時に初めて感じられるのではないだろうか。
萌え県など
宮崎官製談合事件の余波(?)からだろうか、はてなの「注目のキーワード」に「県民性」が上がっていた。それで、なんとなく「県民性」を辿っていたら、これ→moeken.net - を見つけてしまった。
個人的にはこーいうのは苦手なんだけど、つい読み込んでしまった(苦笑)。「東京」の他に「秋葉原」のキャラクターがいるのに少し笑った。
で、ほぼ同時に「5P日記: ご当地バカ百景」を発見。あまりの面白さに今頃見つけた自分を悔いる。本も欲しい。
北アルプス山麓ブランド
長野県のホームページで北アルプス山麓ブランド品の認定申請が告知されている。対象は「北アルプス山麓地域の農林水産物並びにその加工品、調理品等である商品」で、申請資格は「原則として大町市及び北安曇郡内で生産または製造を行う事業者等」となっている。一方で、大町市のホームページにはこの件に関する記載はないが、県下の自治体をキーワードでまとめて、県がブランド化しようとするのは正しい方向だと思う。
日経新聞の記事には、この件が「農業振興」の一環と書いてあるし、恐らく関係者の間でも直近の目的はコレだろう。でも、北アルプスなら、十分「観光ブランド」も構築できそうな気がする。この取組が成功してからということだろうか。
中能登町(2日目)
朝から町役場でインタビューをさせていただく。その後、農家の方々による地元の農産物の直売所やなどを見学。能登上布会館も見学させていただいた。昨日とあわせると、本当に町中の色々な見所を案内いただきました。おかげで、ずいぶん中能登町に詳しくなりました。写真は、昨日案内いただいたときに乗せていただいた町の宣伝カー。車がないとどこにもいけないので、なんとか調達していただいた感があります。僕たちを案内してくれた総務課の方は、町をなんとか良いところにしたいという強い思いをもっている方でした。結局、地域の将来っていうのは、こういう人がいるかどうかに懸かっているのだろう。
高名さん、本当にこの二日間、お世話になりました。また来ますのでどうかよろしくお願いします。
たぶん、中能登町が必要としている地域ブランドは、観光や地産品の販売のためのものではなく、定住促進や産業振興ためのものなのだろう。こうしたことに貢献できるような地域ブランドは、最も構築するのが難しく、時間がかかるものだろう。ただ、町の具体的な姿をみることができたので、少しアイディアが沸きやすくなった。真剣に考えてみたい。
中能登町
中能登町にお邪魔する。中能登町は昨年の3月に鳥屋町、鹿島町、鹿西町の3町が合併してできた町で、合併市町村の地域イメージの調査をして以来、お世話になっている。
今年の3月に商工会が中心になって作られた、地域産業ビジョンには地域ブランドの観点が盛り込まれており、今回はビジョンの策定方法などに関するヒアリングをさせていただきました。商工会のメンバーの方たちとの意見交換の他、町役場の担当者の方のご好意で中能登町の見所を色々ご案内いただいた。
今日、印象に残ったのは中能登町を見下ろす石動山にある大宮坊(写真は大宮坊の内部)。
詳しい説明は以下に。
http://www.ishikawa-maibun.or.jp/sanpo/sekidousan.html
石動山は以前、山岳信仰の拠点だったらしい。奈良県の十津川村のことを書いたが、こういう地域資源って、これからすごく大切なんじゃないのかなぁなどと考えながら山道を車で走りました。
世界遺産
今月の日経グローカル(No.61)に「世界遺産登録へ動く自治体」という特集が掲載されている。
文化庁は年内にも世界遺産に登録する新たな候補の検討作業に入るらしく、そのために色々な自治体で登録を目指す動きがあるとのこと。現在、日本には13の世界遺産がある。
(文化遺産)
- 法隆寺地域の仏教建造物
- 姫路城
- 古都京都の文化財
- 白川郷・五箇山の合掌造り集落
- 原爆ドーム
- 厳島神社
- 古都奈良の文化財
- 日光の社寺
- 琉球王国のグスク及び関連遺跡郡
- 紀伊山地の霊場と参詣道
(自然遺産)
なお、世界遺産登録前の「暫定リスト」には、「彦根城」、「古都鎌倉の寺院・神社」、「平泉の文化遺産」、「石見銀山遺跡」が載っている。
2000年以降、「登録推薦は各国1年に1件」、「登録済みの世界遺産と同種の遺産は受け付けない」という新規登録の受付方針が打ち出されていることを考えると、相当な狭き門だ。まさしく、地域はグローバルな競争に打ち勝たないと「世界遺産」を認めてもらうことができない。そして競争に勝つため、自治体は地域資源に関して本当にきちんと把握する必要がある。
例えば、鎌倉は92年から「暫定リスト」に載っているらしいが、その後登録が難航しているのは、
- 学術的な調査を行っていなかったため、史跡の正確な把握ができていない
- 先行登録された、京都、奈良との違いが不明瞭
のためだとのこと。
地域資源の正確な把握は、なにも「世界遺産への登録」などという、大きな問題から考えずとも、当然のことだろう。結局のところ、もし、自治体主導で地域ブランド構築を目指すのならば、なによりもまず、地域資源を正確に把握し、その価値を適切にアピールしなければならない。